協会NEWS
2011.04.06
鳩は鳥ウイルスの感染源になる確率は極めて低い!
鳩が鳥インフルエンザウイルスの感染源になる可能性は極めて低い!
2011年4月5日(火)、茨城県つくば市の(独)動物衛生研究所から、昨年秋に日本伝書鳩協会の提供した鳩18羽などを使った、「鳩はH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザの感染源になるか?」の実証実験の結果が発表された。この結果は鳩レースを楽しむ愛好家には朗報となった。
この実証実験は自身もレース鳩の愛好家でもある、獣医学博士の百溪英一氏(農林水産省所管の独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構・動物衛生研究所上席研究員)の協力と、同所研究員・山本佑氏から鳩の提供要請を受けた社団法人・日本伝書鳩協会の藤井副会長が実験用の鳩の提供し実現した。実証実験も同所山本佑研究員を中心に行われ、この結果は第151 回日本獣医学会学術集会講演要旨集に掲載された。
2010年10月から本年にかけ、家禽や野鳥におけるH5N1亜型高病原性鳥インフルエンザの発生が続いており、最近でも千葉県で発生している。これを受け、農林水産省は感染経路究明チームを発足させ、鳥インフルエンザの感染源の調査研究を鋭意行っている。鶏への感染源としては、国内小型野鳥、小動物、人などの関与が考えられているが、最近では「ねずみ」説も有力になっている。
今回は鳩を用いた実験感染を行い、症状やウイルス排泄等を解析し、鳩から鶏へのウイルス伝播リスクを検証した。
【実験1】
H5N1亜型高病原性鳥インフルエンザの原因となるウイルスを20羽の鳩に接種し、2週間観察した結果。
・全ての鳩は症状を示さなかった。
・鳩の糞便、内臓、鳩に与えた飲用水からウイルスは検出されなかった。
・20羽中2羽の鳩の口腔からごく微量のウイルスが短期間分離された。
【実験2】
5羽の鳩にウイルスを接種し、鳩と同じ飼育カゴに健康な鶏5羽を2週間同居させた結果。
・鶏への感染は認めらなかった。
以上から
@ 健康な鳩はH5N1ウイルスに感染しても重症化する事はない。
A 感染鳩からのウイルス排泄(量及び期間)は、極めて限定的であり、鳩が鶏へウイルスを媒介する可能性は極めて低い。
この結果から、「鳩のH5N1ウイルス伝播リスクは非常に低い」事が国の研究機関の実証実験で証明された。